伊坂幸太郎×中村義洋監督の作品とは違う作り方で、出演者も個性的で適材適所と言った感じだった。父役の小日向文世、優しく家族への理解力があり、父親像とはこう言うものなのかも知れないと考えさせられた。ハル役の岡田将生、演技や存在に透明感があり役どころとして上手くハマって居ると思った。多少棒読み台詞だったが、それはそれでキャラクターとして生きているのかも知れない。
伊坂氏の原作は、映画にすると難しいんだろうと思う。監督により原作以下になるだろうし、それ以上になる事もあるだろう。今まで三作品観たが、「フィッシュストーリー」「重力ピエロ」「アヒルと鴨のコインロッカー」、自分としては甲乙付けがたい出来だと思っている。フィッシュストーリーだけはコメディっぽくなっていて爽快感が有るが、それ以外はミステリーでも有り伏線により複雑な繋がりを見せてくれる。一つに繋がった時モヤモヤが晴れるような、そんな感覚を覚える。それが作品の心地良さなのカモ知れない。
仙台が舞台であり、地名や映像を見るとソレが何処なのかが分かる。伊坂幸太郎氏が「(自分が住んでいる町なので)嘘がつきやすいから」と言っていたのが分かるような気がする。観ている者、住んでいる者としてはリアリティが有る。決して嘘では無いと思う。
最後のグラフティアート「車両基地の壁」泉水と夏子が走って居る。一目で何処なのか分かった。JR仙台車両基地南側だ。自分もお気に入りの場所だ。新幹線の高架柱と下を流れる小川、中間に有る車両基地と脇を通る道路。ぽっかり口を開けたような風景に建造物の美しさと怖さを感じる。先日も子供と一緒に電車を見に行った場所だ。
「家族の愛は重力を超える」世間からはどう言われようと、家族の絆が有れば地球の重力に関係なく空だって飛べるかも知れない。血が繋がっている繋がっていない・似ている似ていないでは無い。妻帯者である自分、非常に考えさせられた作品だった。
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